全部観ても一日の出来事「24」

知らない人は少ないでしょう。連邦機関CTUの捜査官ジャック・バウワーとテロリストとの攻防を一話一時間というリアルタイムの進行で追うドキュメンタリー的な手法の画期的なドラマです。画面を分割して同時進行の臨場感をだしたりしてスピーディーな展開は多くの視聴者の心をつかみました。新しいヒーロー像を演じたのは名優ドナルド・サザーランドの息子、キーファー・サザーランド。映画俳優として今一歩伸び悩んでいた彼ですが、この当たり役を得て多くの映画にも出演するようになりました。ジャック・バウワーは日本でもモノマネされたり、ご本人がCM出演したりしていたのでお茶の間でもすっかりおなじみになりましたね。キーファー自身このドラマでエミー賞とゴールデングローブ賞を受賞。世界的にも有名な俳優になりました。CSでも24時間マラソン放映をしたり、映画館で丸一日でワンシーズンを観るというイベントをしたりして話題づくりにも余念がありませんでした。テレビ放映が待てないファンは当然レンタルで観るために新シーズンレンタル開始のおりにはツタヤの前に行列なんて現象も起きました。近年では珍しいことです。
あまりの人気に映画化の話が何回も持ち上がっており、実際に企画も進行していたが、現在のところ製作は延期状態です。ファンには待望の映画でしょうから早く製作が開始されるといいですね。全部で8シーズンありますからジャックにしてみればトータル八日間の出来事です。それをこんなに長く続かせたストーリーテーリングの素晴らしさは海外ドラマならではの発想の斬新さですね。

お下劣だけどハートウォーミング「カリフォルニケーション」

このドラマは「デクスター」と同じペイチャンネルのショウタイムが手がけている30分完結のドラマです。これは絶対日本ではリメイク出来ない海外ドラマといえるでしょう。主演はⅩファイルでモルダー捜査官を演じたデビッド・ドゥカヴニー。ストイックなモルダーとまったく対称的な役柄で視聴者を驚かせました。クスリとアルコールとSEX中毒の中年の小説家ハンクのハチャメチャな日常と別れたガールフレンドへの未練、彼女との間に出来た娘への愛情を描いているのですが、半分くらいは女性の裸が映っているのではないかというような内容。さすがペイチャンネルの海外ドラマSEXシーン、排泄物、吐寫物がわんさか出てきます。そんな酷い描写にも関わらず、なぜか最後に残るのは家族愛とか中年の危機の切なさとか友情の大切さとかそんなものなので不思議です。ゆえに作品評価もなぜか高くゴールデングローブ賞の主演男優賞などを獲っています。またシーズン中に主演のデビッドがほんとうにSEX中毒でリハビリ施設に入所したことも視聴者に大きな衝撃を与えました。ある意味リアル!?すぎて役作りなしで地で演じているのではないかというデビッドに関しては、災い転じて福をなす。モルダー捜査官というあまりにも有名な当たり役を持っているがゆえの足かせをうまくはずすことが出来たドラマといえるでしょう。日本ではFOXチャンネルが放送しています。昼間には放送できないのか深夜帯でやっています。

コワーイ「デクスター 警察官は殺人鬼」

 これはコワいドラマです。別にオバケがでてくるわけでもないのですがとにかく描写が恐いのです。アメリカではショウタイムというペイチャンネルでの放映ですが当然といえば当然の内容。シリアルキラー(連続殺人鬼)としての本性と優秀な鑑識警官としての表の顔を使い分けているデクスター。几帳面で完璧主義、殺人に関しても同様で常に完全犯罪。幼少時からのこの恐ろしい性癖を見抜いた養父によって手をかけるのは法では裁けない凶悪犯だけと教え込まれたデクスター。被害者は本当に酷い奴らだけなので見ているほうは一種爽快感さえ覚えてしまい殺人鬼のデクスターに共感してしまうのです。敵討ちの感覚ですね。ねっ殺人鬼に共感するようになるドラマほど恐ろしいものがあるでしょうか。日本では年齢制限なしの放映ですが本国ではレイティングの制限があり青少年は見られません。日本でも堺雅人主演で類似のドラマが作られました。ごらんになった方はわかると思いますが、日本版は殺人を犯すわけではないですが、本編はもっとエグイ殺人描写です。意外とアメリカでは作品としての評価も高くゴールデングローブなどの常連ですが、ドラマと同様主演のマイケル・C・ホールも話題をふりまいています。義妹役のジェニファー・カーペンターとの結婚とすぐの離婚。そしてマイケル本人のガン闘病などです。現在もシリーズは続けようとしているようですので、また新たな展開をみせるのかもしれません。

真骨頂「ER緊急救命室」

医療ドラマとして331話も続いた 「ER」海外ドラマを好きになったきっかけはこのドラマという人も多いのでは? 1994年放送開始のこのドラマ。シカゴのカウンティー病院の救急救命室を舞台に医師、看護師そして患者の日常を描いた物語です。命の現場での医師たちの戦いぶりの合間に、患者の人間ドラマ、病院スタッフたちの愛憎劇を多重的に見せ、ステディカムをつかったスピード感溢れる映像と綿密に練られた脚本、正確な医療考証ととても贅沢に作られたこれぞ海外ドラマの真骨頂といえるドラマです。主演陣のひとり小児科医を演じたジョージ・クルーニーはここから言わずと知れたハリウッドの大俳優へと出世していきます。シリーズの前半は新米救命医カーターの苦悩と成長を主軸としてジョージ演じるダグと看護師キャロルの恋愛をからめて進行していきます。主役陣の何人かを別々の脚本家が書いていってまとめているのでたくさんのエピソードが出てきてもストーリーラインに破綻がなく濃密な人間模様が描けるのです。だから内容はこれでもかというほどの盛りだくさん。人種問題、医療現場でのHIV問題、同性愛、とお腹いっぱい。シリーズが長くなるにつれ主演俳優たちも次々に卒業していき、主役のカーターも途中降板するとシリーズ末期になると初期メンバーはいなくなり他にも医療ドラマがたくさん登場してきたこともあり15シーズンで終了となりました。この最終シーズンにはジョージ演じるダグとその妻になっているキャロルなども出演し華をそえました。

超常現象「Ⅹファイル」

「Ⅹファイル」は1993年から第9シーズンまで続いた超常現象を扱ったドラマです。世界中で大ヒットし特徴的なテーマ曲は今でも不思議物のBGMに使われています。カルト的な人気を今ももっており最終回がはっきりとした結末でなかったために映画での決着を待っている熱狂的なファンがまだ世界中にいるのです。話は現在の科学捜査では解決をみなかった事件「Ⅹファイル」担当の二人のFBI捜査官モルダーとスカリーがプロファイリングと科学捜査を駆使しながら事件の解決をはかるというものですが、ドラマのベースストーリーが宇宙人による地球侵略というもので、9シーズンに渡って主役の二人が数奇な運命に翻弄されてお互いの絆を深めていく人間ドラマの様相も呈しています。当時の主演のデヴィッド・ドゥカブニーとジリアン・アンダーソンの人気は大変なもので当時広まり始めたインターネットのおかげで関連サイトが次々とでき、ネットがドラマというコンテンツの人気を高めたエポックメイキング的なドラマであるといえます。また男女ペアの捜査官という設定は珍しくアシスタントではなく対等な捜査官としてスカリーは当時、男性社会で頑張っていた女性たちの憧れでもありました。モルダーとスカリーという美男美女のペアでありながら恋愛要素はほとんどなく、逆にそれがファンの「妄想」を誘ったのか、スクリーンカップルとしては異例なほどの人気で、その後の男女ペアの主役が活躍するドラマがたくさん作られました。現在までに劇場用映画が二本製作されていますが、興行的には今一歩というところです。ドラマの人気が映画の人気に直結するわけではないのです。

セレブ留学 「ビバヒル」

ビバリーヒルズ高校白書と青春白書は1990年より放映された高校生、大学生を主人公にした青春群像劇です。日本でもNHKの教育テレビで何度も放映されたので観ている方も多いことでしょう。通称「ビバヒル」。超有名な海外ドラマです。普通の一般家庭に育つ兄妹を主人公にすえ、上流家庭の子弟が多いビバリーヒルズの高校生活、恋愛や家族との関係に悩み成長していく姿を描いています。華やかな上流社会のトレンドやファッション、次々と相手を代えて繰り返す恋愛など日本でもブームになり雑誌などで特集が組まれたりしました。しかしそんな派手な部分だけでなく、アメリカ社会の抱えた家庭の問題。離婚や再婚、ドラッグ、犯罪など暗部も盛り込み楽しいだけの青春物語ではなく登場人物たち一人ひとりが抱えている苦悩やコンプレックスをじっくりと描くことによって奥行きのある群像劇として高い評価を受けることとなりました。登場人物を演じた人気女優のゴシップなども取りざたされ、本国アメリカでは社会現象になっていた感があります。日本では人気のお笑い芸人が登場人物のモノマネをやって人気になっていたので覚えているかたも多いでしょう。本放送が終わった後も何度も再放映され続け高校生たちの普遍的な悩みを描いたバイブルになっています。
後になって「メルローズプレイス」などいくつかのスピンオフ(本編から派生した作品)も出来ています。DVDなどもでています。アメリカのセレブ高校生の苦悩を味わってみませんか。

恐いけど観たい!?「トワイライトゾーン」

1961年に日本でも放送された「ミステリーゾーン」本国でのタイトルは「トワイライトゾーン」です。ここではトワイライトの方で呼ばせていただきます。短い一話完結型のドラマで「不思議もの」な内容となっています。幽霊、タイムパラドックス、超自然現象、未来の世界、様々な不思議なお話の数々に日本でもたくさんファンをつくりました。円谷プロダクションのドラマ「ウルトラQ」はまさにトワイライトゾーンの影響をうけて作られた作品です。それまで日本のホラーといえば四谷怪談などの幽霊物が主流でしたが、このトワイライトゾーンはこんな世界があったのかと円谷プロのスタッフたちを奮い立たせたに相違ありません。アメリカでも同様にこの作品を見て影響され後にリメイクを成し遂げたのがスティーブン・スピルバーグです。ジョン・ランディス等有名監督と一緒に監督したのが1983年の映画版「トワイライトゾーン 超次元の体験」です。このドラマの脚本を主に担当したのが番組の案内人も務めたロッド・サーリングです。あの独特な音楽とナレーション、タイトルシーンは摩訶不思議ワールドへの見事な導入部でした。後に本国アメリカでも何度かリメイクされ放映されました。日本でもこの手法のドラマとして今でも続いているのはタモリが案内役の「世にも奇妙な物語」でしょう。いつの時代も変らない不思議な世界を見てみたいという好奇心を刺激し、満足させてくれるこんなジャンルのドラマも海外ドラマならではの楽しみです。

SF「スタートレック」

「宇宙-それは人類に残された最後のフロンティア~」の有名なナレーションと音楽で始まる
スタートレックは言わずと知れたSFドラマの金字塔です。むかし、このオープニングに心躍らせた少年も多いのではないでしょうか。本国では1966年に放映が開始されました。ウィリアム・シャトナー演じるカーク船長やバルカン星人の血をひくミスタースポック、ドクターマッコイら個性豊かな乗組員たちがUSSエンタープライズ号に乗り組み、宇宙探査を行う物語です。各惑星で遭遇する驚異の体験や異星人との交流を通して各キャラクターの葛藤や心情を浮き彫りにSFドラマらしからぬ人間ドラマとして視聴者に感銘を与えました。当時のアメリカドラマとしては珍しく乗組員には黒人、東洋人俳優も起用し、また異星人を乗組員に加えることで人種、種を超越したテーマを描くことにより単なるSFドラマとは異なる世界観を生み、シリーズはメンバーや時代設定を変えて、現在も続いています。ハリウッドとしては貴重なコンテンツでもちろん映画化もされています。「トレッキー」と呼ばれる熱心なファンが大勢いることでも有名で、いまでもその深遠なる世界観を研究している人達もいます。新シリーズが誕生するたびにそのファン層を広げているのです。この作品で「ワープ」や「転送」などというSF用語を覚えた方も多いのではないですか?海外ドラマといえばこの作品を思い浮かべる男性も多いのでは。その後のアメリカのみならず世界中のSF作品に大きな影響を与えたことは間違いないでしょう。

最も有名な刑事「刑事コロンボ」

刑事コロンボといえば日本で一番有名なアメリカの刑事ではないでしょうか。よれよれのコートとぼさぼさの髪。「うちのカミさん~」を連発する愛妻家でもあり、まったく冴えないこの刑事が見事に事件の真相を暴いていく様子にスカッとする視聴者がたくさんいたと思います。刑事物ですが、だいたいのエピソードでは犯人の犯行からドラマが始まります。要するに最初から視聴者は犯人を知っているのです。このドラマの醍醐味は非常に知的で地位も名誉もあるであろう犯人の用意周到に練り上げられた犯罪のちいさなほころびをコロンボがどう発見し、追い詰めていくかに尽きます。この一見サエない刑事に、犯人は気を許し警戒心を解きます。しかしコロンボは犯人のクセ、性格をじっくりと観察しており小さな矛盾点をついていきます。その過程がゾクゾクするほど面白く観ているものを決して飽きさせることがありません。「犯人探し」のドラマではないので、刑事ものではありますが、一種の心理劇なのです。たとえ名士であっても、知能犯であってもそこは人間。段々コロンボに追い詰められていき、焦ってほころびをみせていく犯人の心情が非常に丹念に描かれていて、一話完結のためか犯人は実力のある著名俳優が腕を競って演じており、コロンボを演じるピーター・フォークとの演技対決の様相を呈しているのです。海外ドラマの中では一番有名な刑事コロンボ。人気キャラクターゆえにリメイクの話が出てもおかしくないコンテンツではありますが、ピーター・フォークありきのコロンボであり彼はすでに故人ですのでもうコロンボの新しい活躍をみることはないのではないでしょうか。

海外ドラマといえばこれっ「奥様は魔女」

「奥様は魔女」は何回も再放送されていますし、日本のドラマやハリウッド映画でもリメイクされているので若い方でもご存知の方が多いと思います。1964年から放送されたこのドラマは魔女であるサマンサが広告代理店に勤めるダーリンと結婚したことに始まる珍騒動とエリザベス・モンゴメリー演じるサマンサの口をこちょこちょっと動かして魔法をかける可愛らしいしぐさが人気を呼び、当時まだ珍しかったアメリカの生活様式への憧れがこのドラマをいつまでも日本人の記憶にのこる作品にしているのです。このドラマの肝はもちろん人間の夫と魔法使いの妻との夫婦愛ですが、そのほかの脇役にも味があってドラマにスパイスを与えています。とかくダーリンに厳しくいじわるをするサマンサの母エンドラ、夫妻の可愛い子供達タバサちゃんとアダム君、ダーリンの上司ラリーなどです。
ダーリン以外はサマンサの一族が魔法使いであることを知りません。何でも魔法で解決しようとするエンドラたちと人間界に溶け込むために自分の力でやろうとはしてみるもののついつい魔法を使ってしまう可愛い新妻サマンサにいつも困り果てているダーリンという「お約束」が笑いを呼び、娘のタバサちゃんまで魔法を使い出すという可愛らしい展開に
シットコムの王道をみる思いです。色鮮やかなファッション、広い家で開かれるホームパーティーなどの日本人が持つアメリカの生活に対するイメージはこのドラマで定着したのではないでしょうか。